田辺國芳造之(東京) 昭和十八年八月

本造り庵棟 うぶ茎 小板目肌、柾交じりよく詰む。地沸微塵につき、細かな地景顕われ、淡く白気映り立つ。刃紋は湾れに小互の目、小丁字、尖り刃交じる。匂い口ややフックラと小沸よくつく。小足、葉よく働き金筋、砂流しかかり、明るく冴える。本名は田辺啓太郎。元陸軍受命刀匠。國工院会員名誉宗匠。戦後の作刀を見ない。黒呂塗鞘打刀拵入り。